今日のがんばりは終了しました

高等遊民になりたい

【映画】明日はどっちだ、寺山修司みてきた

結論から言うと超!面白かった

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断言するが、
寺山修司を知らない人でも絶対楽しめる

 

上映映画館がすくないのが残念

渋谷のシアターイメージフォーラムでの上映は29日までで、どうにか滑り込みで見にいけた

客の入りは、まあ…そんなでもって感じ

そもそもファンでないと見にこないとは思うけれども、年の瀬の夜8時にわざわざ渋谷までみに来るんだからさ

客層は、まあまあ高齢で、学生運動を知ってそうな世代から、ネこくらいの、寺山が生きてた時代をちょうど知らないような年代くらいまで、色々

堅そうな人から、サブカル風の人まで、本当に色々

 

シアターイメージフォーラム(渋谷)

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「明日はどっちだ」

というのは、あしたのジョーのテーマの歌詞で馴染みがある人が多いと思うが、これの作詞が寺山修司である

ちなみに、伝説となった「力石徹の葬式」の喪主をつとめたのも寺山である

 

生い立ち

寺山修司は自分の生い立ちについて、著作の中では色々なことを書いていて、

本当のところどうなのかよくわからない部分が多い

誕生日も複数あると言ってるし、

母は死んだとか、母に捨てられたとか、母は炭鉱で働く娼婦だとか…

父は太平洋戦争で戦死した、とか…

 

--------以下ネタバレありますよ--------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寺山は自分のことはほとんど語らなかったらしい

戦争が終わった時、寺山は10歳

青森の大空襲の時は物心ついていた年だ

父が戦死したというのは本当

だから、母1人子1人で生活していた

母は祖父が女中に産ませた子で、祖父が認知しなかったので、私生児ということになっているらしい

母は三沢の米軍基地の図書館に勤めていた…が、実際は米軍将校の愛人(いわゆるパン助)をしていた

それが原因で、三沢では周囲の冷たい視線にさらされたり、虐められたり、あまりいいことはなかったようだ

三沢在住のいとこという人も、母親については、

 

美人だったが派手好きで、ヒステリックで、ハイヒールで寺山を殴ったり、将校を家に連れ込む時は寺山を家から出していたとか言っていた

寺山は母とそのことでよく喧嘩していたらしい

 

将校が九州に転勤になるに際して、母もついていくからと、寺山を青森の大叔父の家に預けた

 

現代の感覚でこの話をきくと、とんでもねー母親だなと思ってしまうが、この時代に女1人で子供を育てる手段となると限られてくるのかなと…

 

青森中学に行ってからは、作文でその才能を認められていく

が、同級生によると、

書いてあること全部嘘

これにはシアターの観客もクスクスするしかない

虚言癖…といったらあれだけど、すぐバレる罪のない嘘をつくのって憎めないからな

虚構であっても美しいものが真実であるというようなことも寺山は言っているが…

関係者によると、真実を大事にしていたかというとそういうわけでもないらしく…

 

最初から最後まで全部嘘ばっかり

 

更に、野心家で、自分を引き上げてくれる人にはついていくが、得るものがなくなると切り捨てる、等のドライな面も語られる

(野心、なんて美しい言葉!)

 

大学は早稲田に進むが、ネフローゼを発症して入院、休学、結局退学してしまう

母親は入院費を稼ぐために更に働いた

寺山は恩師にあてた手紙で、

 

本当にいいお母さん

僕の入院費を稼ぐために、米軍で何をしてるか、僕、しってる

 

と書いている

憎しみと愛情の入り混じった複雑な母子関係、それが作品に影響を与えているであろうことがうかがわれる

 

が、ネこ的には、この子供のような文章が気になった

恩師に甘えていたのか、これもまた虚構の中の自分なのか…

 

 

 

「市街劇ノック」

警察が出動し、逮捕者まで出したこの市街劇

内容を聞いているだけでワクワクする

新宿で、街全体を巻き込んで、あちこちで突発的に劇がはじまる

 

警察の手をかいくぐるために、法律についても下調べを細かくしており、暗号なんかも作っていたという(しかしどうもばれていたらしい)

 

例えば、

一人暮らしの60代男性(一般人)に毎日手紙を出す

手紙には前日にした行動が詳細に記載されている(劇団員が見張っている、なぜ気づかないのか…)

ある日、手紙が来ない日があった

翌日きた手紙には、その日、彼がする行動が記載されている

男性は、果たしてその手紙の記載通りに行動するのか?

という実験的試みである

この後、男性を尾行して行動観察するのだが…

まあ犯罪だよね

 

観客を箱に閉じ込めて、見知らぬ場所に運び、放置して帰る

 

誰が観客で誰が役者かわからないが、突発的に始まる劇

 

車椅子にミイラ男を乗せてマンションに行く

住民には何も知らせていない(知らせると予定調和になってしまうので)

観客がピンポンした!(予定にはない、だが、観客が参加して市街劇を作っていくのだから、これでいいのだ)

出てきた人が驚いて警察を呼ぶ

ミイラ男は捕まり、てめーみたいなのは人間じゃねぇ!などと警察からかなり絞られたらしい…

 

他にも、観客がピンポンしまくって家に入ってみたり、色々とんでもないことしている

これは警察を呼ばれても仕方ないわ、面白いけど

 

ノックの中でしていることは、70年代としては勿論、現在から見ても、ものすごく前衛的だと思う

一見、最近のユーチューバーがしていることと似ているように感じたが、

寺山は既成概念の破壊、常識からの解放を目指していたのであり、

自己顕示欲で迷惑行為を行うユーチューバーとは本質的に異なっている

 

他にも色々面白いエピソードがあったのだが…

母親が、寺山の結婚後の新居に放火する話とか…

そこらへんは映画をみていただきたい

ちなみに、母親は寺山より長生きしているし、

劇団のカフェのママもしていた

 

懐かしの我が家が最後に朗読される

 

最後に

 

寺山は亡くなる少し前のエッセイで、

「私が死んでも墓はいらない

私の墓は、私の、言葉で十分」

と書いている

ネこは、この言葉がかっこよくて大好きだ

 

が、

高尾に墓あるんかい!

だまされたー

でも、ネこは墓には参らないぞ

寺山の言葉をいつも読んでいるからな

 

 

 

君の、ネこの、日本の、世界の、

明日はどっちだ